トヨタAE86

 AE86とは、1983年にトヨタ自動車が発売したカローラとスプリンターのスポーツモデルである4代目カローラレビン/スプリンタートレノの共通車台番号。
 この形式のカローラレビンとスプリンタートレノに対し俗にハチロクという愛称がつけらた。
 


2007年07月29日

AE86・ハチロク

 発売当時は前輪駆動(フロントエンジン・フロントドライブ方式)やターボなど利便性を追求した新メカニズムの取り入れが日本車の流行だっただけに、新開発の4A-GE型エンジンが目新しかったものの、当時のトヨタの生産設備の都合で先代の「TE71型」からそのまま受け継いだ旧来のシンプルな、フロントがストラット、リヤがラテラルロッド付きの4リンクリジッドアクスルという後輪駆動方式(フロントエンジン・リアドライブ方式、 FR)が当時としてもやや簡素であり、走りを追求する一部の人たちに期待はずれの印象をもたらした。
 基本的なサスペンション仕様が先代「TE71型」と同様だったため、改造パーツ等も流通していたことが、実はその後の人気が続く理由になっている。(発売から1週間後にはジムカーナ仕様車やラリー仕様車が完成したと言われている。)
 1987年、レビン・トレノが「AE92型」へとモデルチェンジを果たして駆動方式がFF(前輪駆動)に変更された事で、ハチロクは国産車として希少となった軽量FR(後輪駆動車)ということでその存在が見直され、皮肉にも発売当時以上に車好きの間で注目されるようになった。

ハチロクとドリフト ドリフトとドリキン

 人気プロレーシングドライバーの土屋圭市がその立身出世の相棒として、当時から現在に至るまで取り上げ続けたことでも注目を集めるようになる。 特に氏を信望する峠の走り屋には、土屋圭市(ドリキン)=ドリフト=FR=ハチロクというように絶大な人気を得た。
 1990年代半ばからは漫画『頭文字D』の主人公(元々は父・藤原文太保有、後に主人公の藤原拓海保有に)の愛車ということで、元々の車好き以外にも注目を浴びて以来、中古車市場でも異常なほどの高値安定を示し、アメリカなどから左ハンドル仕様を逆輸入して販売する業者も現れた。 絶版直後ならいざ知らず、絶版から20年近く経った現在、その経年状態と性能に見合わない価格で購入していくのは、走り屋よりも『頭文字D』に憧れた者ばかりと言われる。 その為か、ハチロク専門店も存在するほどである。
 それでも長年培った様々なノウハウや社外パーツでのチューニングに加え、後に登場したレビン・トレノに採用されたスーパーチャージャー、4連スロットルボディー、20バルブ4A-GEエンジン等を流用する純正品でのチューニングメニューも多く、さらにはSR20DETやRB26DETT、2JZ-GTE、F20C、RE等あらゆるエンジン換装例もある。 金に糸目を付けなければ1980年代の車でありながら、21世紀の現在でも充分にこの車を楽しめる。 現代の車に比較して、シンプルなエンジン(補器類含む)、サスペンションの構造が、プライベート(個人)でのモディファイに適していることも、これだけ長く人気を得てきている理由の一つといえる。
 また、外観からかなり痛みが見られるような車体状態でも、走行は可能な堅牢さも特筆に価する。(通常であれば廃車扱いとなるような状態の車体であっても、人気とメンテナンス経験を持った人間の多さゆえ、電気自動車などの改造ベースとしても好んで使用される。)
 前述の逆輸入左ハンドル車の注意点は、足車として使われていたため走行距離が多い個体が多い、Dジェトロでなくエアフロ式なので、インテークパイプに加工が必要、排気側もEGR(排ガス還流装置)があり、右ハンドルの物をポン付け出来ない、などである。
 ちなみに、同年式のレビン・トレノの3A-U型1500ccSOHCエンジン搭載車はその形式名(AE85)から「ハチゴー」と呼ばれるが、たった83馬力しかないそのエンジンゆえにハチロクほど人気はない。
 しかし、一部ではその不人気さゆえのハチロクより軽量、低価格でハチロクより程度のいいボディーが手に入ると言う理由で、マニアがエンジン載せ換えやフレーム加工などの大規模な改造を施す時のベース車として使われる事が多い。(実際、ハチゴーをベースにフレームに大規模な加工を加え、スープラ等に搭載される2JZエンジンを搭載したドラッグマシンの実例もある。) ちなみにこのハチゴーは、頭文字Dの拓海の友人である樹の愛車でもある。

余談ではあるが、当時トヨタ社と提携関係の有った英国ロータス社の「エスプリ」に、このAE86前期型レビンのリアコンビランプが使用されていた。

ハチロクと4AG

 1983年5月に登場したカローラレビン/スプリンタートレノに初めて搭載された。
 直列4気筒1600ccで前輪駆動、後輪駆動及びミッドシップ用で、DOHC16バルブもしくは20バルブの、自然吸気もしくはスーパーチャージャーつきエンジンである。
 それまでのトヨタ自動車の過去のスポーツツインカム系エンジンである直列4気筒1600ccの2T-GEUの後継として開発された。 これは、2T-GEUが度重なる自動車排出ガス規制に対応するために、当初よりもパワーダウンして陳腐化したことが原因となっている。 ベースとなったエンジンは直列4気筒1500ccの3A-Uで、SOHC方式のヘッドユニットをDOHC方式に変更したものである。
 ヘッドユニットについては当初、ヤマハ発動機にて製作されたもの搭載していたが、後にトヨタ内製のものを搭載するように切り替えられた。 このようなヤマハ発動機-トヨタ内製の流れは後の20バルブ型ヘッドユニットにおいても同様である。 レギュラー仕様の初期型では可変吸気システムであるT-VISが採用されていたが、その後、廃止されたうえでハイオク対応となり、最終型では20バルブ方式を採用した上でトヨタのメカニカル式可変バルブタイミングシステムであるVVTが採用されるに至った。

 気になる流通量=在庫は専門の中古車の格安サイトへ。

4AGについて

 4A-GEは丈夫さには定評があるものの、燃費は決していいとは言えず、他の一昔前の高回転型エンジンと同じように低~中回転域のトルクに乏しく(「スカスカ」とも言われる)、一般に街乗りには不向きとされる。
 馬力に関しては80年代後半の16バルブ後期と比べ、90年代前半の20バルブ前期を自動車雑誌の編集部がテストしたところ、公称160馬力でありながら実際に計測してみたら大半が130馬力台であったと言う話もある。 これはほとんどが車載された状態で”シャシ台”にて計測された値であり、実際にエンジン単体で計測を行った場合はそれほど悪い値ではなかったとも言われるが、同じ90年代前半に登場した1.6Lクラスのライトウェイトスポーツカー、VTECエンジンを搭載したシビックやMIVECを搭載したミラージュと比べると、カタログスペックでの馬力・トルク・燃費全ての面で劣る4A-GEは、嘲笑の意味を込めて「ヨタ馬力」と評されて評判を落としてしまったこともある。
 しかしエンジンの流通量が他と比べ比較的多く、チューニングパーツが豊富にあり、さらにその丈夫さと作りの簡単さから様々なチューニングを施すことができることから、改造を好む人には未だに愛好者が多い。
 チューニングのベースエンジンとして評価する場合、AE92後期のエンジンが良いとの意見も多い。
 20バルブの場合、燃焼室の形状が複雑な為に圧縮比を上げるとノッキングが発生しやすい。 ゆえに高度な加工技術が必要となる。
 逆に16バルブの方が燃焼室の形状がシンプルゆえに圧縮比を上げるのが容易である。 メカニカル・デザイン的には当然20バルブは部品点数も多く複雑なので各部品の組み付けに精度を要する。 しかし、クランクシャフト・コンロッド・ピストン等の「腰下」は20バルブの方が品質的に優れているので安易な評価は難しい。
 安価にエンジンをチューニングする方法としては【AE92後期のヘッド】+【20バルブの腰下】をベースに仕上げる事もある。 ただし、ピストン上部の加工も必要なのでかなりの経験が必要であり、実際には「壊れない」エンジンに仕上げる為に相当の経験値も必要となる。
 基本設計が現代のエンジンと比較してシンプルな構造なので、バランスよく仕上げることが出来れば現代のエンジンと同等のパフォーマンスを期待できる。
 シリンダーブロックの強度を検証すると200馬力を超えると耐久性が極端に低下する。 自然吸気のものはベースが基本的に3A-Uと同等であり、20バルブのものはリブ形状からスーパーチャージャー用のものの方がより強度を保っているとされる。

4AG ヒストリー

自然吸気
16バルブ

1983年5月(AE86型カローラレビン スプリンタートレノ搭載時)
名称 4A-GEU
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 9.4
最高出力 130ps/6600rpm
最大トルク 15.2kgm/5200rpm(いずれもグロス値)
使用燃料 レギュラーガソリン
通称 青文字

1984年6月(AW11型MR-2前期型搭載時)
名称 4A-GELU
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 9.4
最高出力 130ps/6600rpm
最大トルク 15.2kgm/5200rpm(いずれもグロス値)
使用燃料 レギュラーガソリン

1987年5月(AE92型カローラレビン スプリンタートレノ前期型搭載時)
名称 4A-GELU
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 9.4
最高出力 120ps/6600rpm
最大トルク 14.5kgm/5200rpm
使用燃料 レギュラーガソリン
通称 赤文字、キューニー前期

1989年5月(AE92型カローラレビン スプリンタートレノ後期型搭載時)
名称 4A-GEU
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 10.3
最高出力 140ps/7200rpm
最大トルク 15.0kgm/6000rpm
使用燃料 プレミアムガソリン
通称 ハイコン、カバー付、キューニー後期

20バルブ

1991年6月(AE101型カローラレビン搭載時)
名称 4A-GE
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 10.5
最高出力 160ps/7400rpm
最大トルク 16.5kgm/5200rpm
使用燃料 プレミアムガソリン
通称 銀ヘッド

1995年5月(AE111型カローラレビン搭載時)
名称 4A-GE
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 11.0
最高出力 165ps/7800rpm
最大トルク 16.5kgm/5600rpm
使用燃料 プレミアムガソリン
通称 黒ヘッド

過給機付

1987年-月(AW11型MR-2および前期型AE92型カローラレビン スプリンタートレノ搭載時)
名称 4A-GZE
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 8.0
最高出力 145ps/6400rpm
最大トルク 19.0kgm/4400rpm
使用燃料 プレミアムガソリン

1987年5月(後期型AE92型カローラレビン スプリンタートレノ搭載時)
名称 4A-GZE
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 8.9
最高出力 165ps/6400rpm
最大トルク 21.0kgm/4400rpm
使用燃料 プレミアムガソリン

1991年5月(AE101型カローラレビン スプリンタートレノ前期型搭載時)
名称 4A-GZE
排気量 1587cc
ボアストローク 81.0×77.0
圧縮比 8.9
最高出力 170ps/6400rpm
最大トルク 21.0kgm/4400rpm
使用燃料 プレミアムガソリン

ハチロク 気になる中古車市場は?

 ハチロクの、中古車市場はあまり流通していません。
値段がつかないものや、150万円を軽くこえるものまで出現しています。
それは、単体の値段に改造チューニングによってお金のかかった車に、今現在続いている人気のせいといえるでしょう。

 気になる中古車は販売・買取専門の中古車サイトで在庫を調べてみるのもひとつの手です。

 あなたの愛車もおなじですが、中古車は車種によって多数のグレードがあり、グレード毎の差に主要装備はもちろん、排気量に差がある場合もあるので査定額に大きく影響します。

 またクルマを買い替えるタイミングとして、トクする時期が1年間に何回かあったりもしますので、注意が必要だといえるでしょう。
 中古車購入時は中古車購入時のお得知識を身につけてからのほうがよいでしょう。

燃費グッズ・カー用品はこちらまで

Copyright(C) AE86 レビン・トレノ 中古車情報 All Rights Reserved.